ネタバレが多くなっちゃうのでサンプル少な目です。すみません〜
「そうか」
報告を受けた公瑾は微笑みを崩さないまま答えた。
「では、その件に関してはしばらく置いておく」
ほっとしたらしい部下が退出するのを見届けてから、公瑾は深々とため息をついた。
最近、自分の指示した作戦が失敗することがたびたびある。情報を集め周到に準備した計画が、思ってもみなかった要因で崩れるのを見るのはこれで何回目だろう。
邪魔をしているのが誰かはすぐにわかった。
子敬と花だ。
もともと穏健派で玄徳軍との同盟を推していた子敬なら、望みどおりの今の状況を崩したくないだろう。自分が逆の立場でも、子敬と同じように妨害に走ったに違いない。忌々しいが理解はできる。
それよりもどうして花が自分の邪魔をするのか、公瑾にはわからなかった。
元いた玄徳軍が夫よりも大事なのだろうか。仲謀軍との同盟が破れれば玄徳軍は弱体化するのだから。だが、今は自分の妻なのだ。
「私の体面を傷つけるようなことは控えて頂きたい」
書簡を届けに来た花に言ってしまったのは、失敗の報告を受けた後だからだったのか。
「公瑾さんの体面? 私、何か恥ずかしいことでもしてたんでしょうか?」
とぼけるつもりなのか、花はまったくわからないという顔をした。
「子敬殿と一緒になって、私の邪魔をしているでしょう?」
そう言うと、花は無言で公瑾を見返した。
「なぜです? あなたは私の妻でしょう。あなたは私よりも玄徳軍や上司の方が大切なのですか?」
花は何も言わない。黙って公瑾を見つめるばかりだ。
「妻は夫を支えるものです」
「じゃあ、どうすればいいんですか?」
硬い声だった。
「私の邪魔はおやめなさい。傷つくことになりますよ」
「言いたいことはそれだけですか?」
思いもよらぬ返事に、公瑾は驚いた。
きっと唇を引き結んで、たじろがない視線が公瑾を射抜いた。まっすぐな、燃えるような目だ。