アンジェリークが最後にここから去ったとき、すべてが終わった。そう思っていた。
彼女はもうここには来ない。そして二度と会うことはないのだと信じていたし、信じようとしていた。
欲しがって失うのはもう嫌だった。だったら初めから欲しがらなくていいと思っていた。
だから。
もう会えない。
それは彼女が勝とうが負けようが、変わらない答えのはずだった。
勝てば聖地で女王となり、負ければ死ぬ。
もちろん勝って欲しいと願ってはいた。彼女のためだけでなく、アルカディアのためにも。
(略)
「そんなことが嬉しいの?」
「ええ」
「ボクを死ぬほど驚かせても?」
言葉にこめたニュアンスも彼女には届かないようだ。
「ええ」
アンジェリークの手が、ルネの仮面を外した。
まっすぐに見つめてくる視線が眩しい。
「……やっと、ルネさんに会えました」
頬に血の気が戻ってくる。
「そんなにボクのことが好きだったんだ?」
真剣な声がなぜか怖くて、ふざけて返さないではいられなかった。